竪穴区画 集合住宅を計画する場合の注意点!

建築基準法

本ブログは集合住宅を計画するときに必要にある竪穴区画についてイラストを用いてわかりやすくまとめております。

竪穴区画は建築基準法令112条11~15項に記載されています。火災時に階段・吹き抜け・EVなど縦につながる部分からの延焼を防ぐために設けられる区画を竪穴区画といいます。

竪穴区画の対象条件

共同住宅の場合は主要構造部を準耐火構造以上で、地階または3階以上の階に居室のある建物が対象になります。(階数3以下の延べ床面積200㎡未満は対象外)となっていいます。

メゾネット階段がある場合も、階数が3階建てで住戸面積200㎡以下であれば、竪穴区画は不要です。

竪穴区画が必要な場合の対応方法

上記の建物の条件に該当し、竪穴区画が必要な場合は遮炎性能をもつ防火設備(20分遮炎)又は45分準耐火構造以上で区画する必要があります。

防火設備と遮炎性能について

防火設備と遮炎性能についておさらいをしておこうと思います。長年設計・監理を経験してきた人でも理解している人は少ないかと思います。

防火設備は開口から火が出入りするのを防ぐ設備です。防火設備は下図のような鉄製防火戸・鉄製シャッター・網入りガラス・ドレンチャ―等のことを指します。防火設備の条件には20分間の遮炎性能が求められていいます。

詳細については平成12年建設省告示第1360号に記載されています。

また、防火設備は「常時閉鎖式」と「随時閉鎖式」があります。

常時閉鎖式は玄関扉のように普段閉鎖している扉で、手で開ける為見付け面積3㎡以下で、手を離すと自動で閉じるようにしなければなりません。

一方、随時閉鎖式は見つけ面積に制限はありませんが、「避難方向に扉が開かない場合」や「扉の見つけ面積が3㎡を超える場合」は、一部を潜り戸とする必要があります。(昭和48建国2563号)

潜り戸を設置する場合は床面から150㎜以下、高さが1800㎜以上。幅750㎜以上必要です。

その為、内法高さが2000㎜以上ないとくぐり戸を設置できませんので、梁下等に随時閉鎖式を設置する場合は注意が必要です。

以上、防火設備について説明しました。

スパンドレルの設置

竪穴区画の壁や床が外壁と接する部分はスパンドレルが必要です。

壁や床を外壁にぶつけただけだと火が窓を通して回り込んでしまいます。

その為、900㎜以上の壁をつけるか、500㎜以上の庇・袖壁を設ける必要があります。

竪穴区画は開放廊下との区画は不要

以下の図のように共用廊下が開放廊下の場合は竪穴区画が不要になります。

開放廊下の定義は各自治体によって判断が異なりますが、一般的に「開放部分の高さが1.1m以上かつ天井高さの1/2以上」あり「開放廊下の奥行きが2m以下」であれば、開放廊下として認められます。

竪穴区画は内部空間との区画を基本としているため、外部空間との区画は不要です。

また、開放部分に目隠しスクリーン等を設置した場合は開放廊下として認められない場合があるので、あらかじめ行政に確認することをお勧めします。

階段室型の場合

共用部をコンパクトにして、専有面積を大きくしたい場合に階段室型にする場合があります。

階段室型にした場合は階の住戸数にもよりますが、階段室を一体的に区画することができます。

階ごとの住戸数が多い場合は階段部分と区画が発生する可能性がありますので、検査機関に確認する必要があります。

補足 ※東京都で計画する場合

東京都で共同住宅を計画する場合は階段部分の竪穴区画から出入口までを8条区画する必要があります。以下の記事を参考にしていただければと思います。

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