避難上有効なバルコニーと屋外避難階段 6階建て以上注意!

建築基準法

本ブログは避難上有効なバルコニーと屋外避難階段についてイラストを用いてわかりやすくまとめております。

建築基準法では令121条で一定規模の建築物に2以上の直通階段を設置を義務付けています。そのうえで、2以上の直通階段の緩和として、「避難上有効なバルコニー」と「屋外避難階段」があると規定されています。しかし、建築基準法に具体的に構造規定を示されていません。その為、行政や自治体は「建築物の防火避難規定の解説」に準じて審査しています。

2以上の直通階段が必要となるケース

集合住宅の場合2以上の直通階段を設置するケースは2パターンあります。

2以上直通階段

パターン1 6階以上に居室がある場合。(6階建てで5-6階がメゾネットの場合は不要)

パターン2 各階ごとの居室面積の合計が100㎡(準耐火以上で200㎡)以上の場合。                ※住戸面積ではなく、階ごとの居室面積の合計に基づきます。

上記のうちパターン1のみ「避難上有効なバルコニー」と「屋外避難階段」を設置することで、2以上の直通階段の緩和することができます。

居室の面積が大きい場合は二以上の直通階段の緩和を使用することができません。

避難上有効なバルコニーの基準

避難上有効なバルコニーの構造規定は「建築物の防火避難規定の解説」に記載されています。

①避難上有効なバルコニーの位置は、直通階段とおおむね対象の位置とする

②タラップその他の安全に避難できる設備を有する(消防法に準ずる)

③バルコニーは道路または、幅員75㎝以上の敷地内の通路に面する

④バルコニーの面積2㎡以上(避難ハッチ部分を除く)、奥行75㎝以上

⑤バルコニーから2m以内の外壁は耐火構造等とし、開口部は特定防火設備または両面20分の防火設備        共同住宅は不要

⑥バルコニーに通じる戸は、幅75㎝以上、高さ180㎝以上、下端の床面からの高さは15㎝以下

⑦バルコニーは外気に開放されていること。                             ※検査機関により判断が異なるが、天井高さの1/2以上開放していれば良いケースが多い。

⑧バルコニーの床は、準耐火構造又は耐火構造とすること、かつ構造上安全なもの。

避難上有効なバルコニーはあいまいな文章が多いです。

①避難上有効なバルコニーの設置個所や、⑦バルコニーの開放性に関する規定は解釈があいまいであるため、事前に行政や確認検査機関へ相談することをお勧めします

屋外避難階段とは?

屋外避難階段は、建物の外部に設置され、「開放性」や「構造規定」の基準を満たす必要があります。

屋外避難階段の開放性

①階段の2面以上、かつ、周長の概ね2分の1以上が、有効に外気に開放されていること。

②外気に開放された階段の部分が、その面する隣地境界線から有効寸法で 50cm以上、かつ、同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の部分から 1m 以上の距離を確保すること。

③階段に開放性のない腰壁手すりを設ける場合は、手すりの上部を高さ 1.1m 以上、有効に外気に開放すること。

屋外避難階段の構造規定

建築基準法で屋外避難階段の構造規定が定められています。

①屋外避難階段の扉は防火設備(常時閉鎖式又は感知器連動閉鎖式)とすること。

②階段と壁は耐火構造にすること。

③屋外避難階段床面から2m以内に開口部を設けないこと。(1㎡以下の網入りFIX窓であれば可)

屋外避難階段の床面から2mと防火避難規定に記載があります。私の経験上、2m範囲内に給気・排気のスリーブも開口部として扱うため、2m以上離して設置しなくてはなりません。

まとめ

二以上の直通階段を設置すると、東京都のように容積率を厳密に計画する地域では不利になることが多いため、「避難上有効なバルコニー」と「屋外避難階段」を活用して効率的に容積を消化するケースが一般的です。また、規定に曖昧な部分が多いため、最終的には検査機関の判断に委ねられることがほとんどです。そのため、計画の初期段階から行政や確認検査機関に相談することを強くお勧めします。

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