東京都安全条例17条について説明します。集合住宅の計画において、とても重要な法文です。
主要な出入口(東京都安全条例第17条)について知りたい人向けに書きました。
「主要な出入口」について
「主要な出入口」は基本的に道路に面して設けなくてはいけません。
また、共同住宅の「主要な出入口」は原則として、共用部のエントランス扉の位置とされています。
なので、集合住宅の計画をするうえで、共用部のエントランス扉は道路側に設けなくいけないのですが、複雑な敷地の場合に計画がうまくいかない場合がよくあります。
その場合は東京都安全条例第17条1のただし書きを利用します。
出入口の前面に、共同住宅の住戸若しくは住室、寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室(以下「住戸等」という。)の床面積の合計に応じて、次の表の幅員以上の通路等で、道路に二十メートル以内で避難上有効に通ずるものを設けた場合。
この条文の通り、共用部のエントランス扉まで敷地内通路を設け、敷地内通路の幅を上の表の数値以上確保していれば、「主要な出入口」を道路に面さなくてよいとされています。
少し、わかりづらいかと思うので図で説明しますと、
上記のように、住戸面積500㎡の場合で構造は耐火構造(2倍読み)とした場合はAは有効2m以上必要あれば「主要な出入口」は道路側に面さなくてよいとされています。
主要な出入り口の位置の考え方 ※ピロティの場合
「主要な出入口」は共用部のエントランス扉とされていますが、道路から共用部のエントランス扉までがピロティの場合は条件によって主要な出入口が異なります。
図で説明しますと以下のようになります。
左(パターン1) ピロティ 一部上部屋根なし
右(パターン2) ピロティ すべて屋根あり
共用エントランスまでの間に外部空間がある場合は「主要な出入口」は共用エントランス扉となる。
「窓先空地からの避難経路」と「主要な出入口までの敷地内通路」の兼用
「主要な出入口までの敷地内通路」は「窓先空地からの避難経路」と兼用することができます。
兼用した場合、通路の幅はどちらか大きいほうを採用する必要があります。また、ピロティの場合は道路側を主要な出入口とすることはできません。
兼用できると設計の自由度が増えますので、集合住宅の計画をする際は検討してみてください。
注意点!屋外避難階段がある場合
屋外避難階段がある場合、見落としがちなポイントがあります。屋外避難階段の扉にも主要な出入口が必要となるため、主要な出入口が2か所必要になるのです。
また、屋外避難階段からの敷地内通路として建築基準法施行令128条に基づく1.5m、または90cm以上の幅の通路があっても、住戸数の面積によっては基準を満たしていないと判断されてしまいます。この点を見落とすと、行政や検査機関から指摘を受け、プランの大幅な変更が必要になるため、十分な注意が必要です。
まとめ
・基本的には主要な出入口は道路側に面して設けなくてはいけない。
・道路側に面して設けられない場合は敷地内通路の幅を規定の幅以上設けなくてはいけない。
・ピロティの場合は条件によって主要な出入口の位置が異なる。
・「窓先空地からの避難経路」と、「主要な出入口までの敷地内通路」は兼用することができる。
・主要な出入口は屋外避難階段の扉にも必要。
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