本記事は住宅の照明計画について発信しております。
本記事は日本の照明の欠点とエビデンスをもとにした照明計画を紹介しております。
サーカディアンリズムについて
まず、照明計画をするうえで必ず知っておきたい、サーカディアンリズムについて説明します。
サーカディアン照明とは2017年にアメリカ人研究者がノーベル生理学・医学賞した「サーカディアンを制御する分子メカニズムの発見」で広く知られるようになりました。
これは光が人間の健康に大きく影響を与えているということを示しています。
人間はメラトニンが増えると体温が下がって眠くなります。また、太陽光のような白い光を浴びるとメラトニンの分泌量が抑制され眠くならずに仕事や勉強に集中することが出来ます。
朝、起きて太陽の光を浴びると目が覚めるのはメラトニンの分泌量が抑制されるためです。
人間には体内時計があり、睡眠やホルモンの分泌、体温変化など1日(24時間)周期でコントロールされています。この体内時計は光に大きな影響が与えており、照明計画するためにおいて必ず知っておきたいことです。
![](https://kaeru-architect.com/wp-content/uploads/2023/03/6a7cc35a83a41d4649aa9323cf1d4b42-2-1024x673.jpg)
上記のイラストをみると、日中は太陽高度が高くなり高照度の光を浴びるため、メラトニンが減少し、覚醒します。そして、就寝前は徐々にメラトニンの分泌量が増えて眠くなり、ゆっくりと眠ることが出来ます。
このように、光と人間の体内リズムは大きな関係があることがわかります。
その為、サーカディアンリズムは照明計画を考えるうえで、とても重要なことだといえます。
サーカディアン照明について
上記で説明したとおり、光と人間の体内リズムは大きな関係があることを説明しました。
照明計画を考えていくうえで、重要になるのが照度と色温度です。
照度は光の明るさを示し単位はLx(ルクス)、照度が大きいということは明るいことを示します。
色温度は光の色のことを示し、単位はK(ケルビン)です。
色温度が大きい=白い光(太陽光に近い)
色温度が小さい=暖かい光 となります。
![](https://kaeru-architect.com/wp-content/uploads/2023/03/628f424e702f415eda1e98240b188421.jpg)
照明器具によって照度・色温度は異なっており、部屋の種別によって使い分ける必要があります。
サーカディアン照明は日中は高照度・高色温度で夜間は低照度・低色温度として、生体リズムを壊さないように計画することを言います。
サーカディアンリズムをもとに、照明計画を考えることが設計者としてとても重要です。
日本の家は明るすぎる問題
日本の家は先ほど説明した、サーカディアンリズムを考えた計画をしていない物件が多く人体の体内リズムに大きな影響を与えているといわれています。
夜眠る前に高照度・高色温度の光を浴びると睡眠に大きな影響を与えて夜寝付くことが出来ず、朝起きるのがつらく感じてしまい、生活リズムが崩れてしまいます。
江戸川大学の研究でも日本の家は明るすぎると問題視されています。
この研究では日本の住宅の照明は、「夜更かし朝寝坊」を作り出している可能性があるとのことです。
サーカディアンリズム照明
住宅の照明計画を進めるうえで、寝室のように眠る空間は低照度・低色温度を使用してリラックスさせる計画とします。
![](https://kaeru-architect.com/wp-content/uploads/2023/03/IMGL2759-1000x667-1.jpg)
間接照明などを用いてやわらかい雰囲気とした例。
また、リビング・ダイニング・キッチンなど一日中利用する空間は調色・調光することができる照明器具を採用して、日中と夜間で光を使い分けすることができるように計画します。
![](https://kaeru-architect.com/wp-content/uploads/2023/03/LLCT1B277W_15-1024x588.jpg)
最近ではスマホと連動したIOT照明が普及しており、照明の調節がしやすくなりました。
設計者はそれぞれの用途によって利用する時間帯を想定して照明計画を考えることが重要です。
まとめ
・光と人間の体内リズムは大きな関係がある。
・日本の家は明るすぎるため、生活リズムが崩れやすい。
・設計者は用途・利用する時間帯などを想定して照明計画をすることが重要・
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