集合住宅の計画では必ず覚える必要がある窓先空地について説明します。
窓先空地は東京都安全条例の中で特に重要な条例となっております。
本記事は理解しづらい東京都安全条例19条の窓先空地をわかりやすく解説しております。
東京都安全条例第19条
東京都安全条例第19条は共同住宅の居室において、採光及び通風を確保するために各住戸に道路又は窓先空地に直接面する窓の設置を義務付けております。また、その窓は非常時に避難できるように、避難器具を設置する必要があります。
第19条は「採光と通風の確保」と「避難経路の確保」を目的として定められた条文となっております。
また、各住戸の窓は「道路に直接面する」か「窓先空地」を設けなくてはいけません。


この2パターンのどちらかを守って計画する必要があります。
住戸の窓を道路側に設ければ窓先空地を設ける必要がないため、計画を考えやすいのですが、敷地の形状によって窓先空地を設けなけれならないことがよくあります。
この窓先空地について深掘って説明していきたいと思います。
窓先空地について
窓先空地を理解していくうえで重要な要点を3つに絞って説明していきます。
1.窓先空地の大きさについて
2.窓先空地の窓のサイズについて
3.窓先空地から道路までの避難経路について
窓先空地の大きさについて
窓先空地の大きさは窓先空地を設けている住戸の合計面積で決まります。
- 100平方メートル以下のもの:窓先空地1.5m
- 100平方メートルを超え、300平方メートル以下のもの:窓先空地2m
- 300平方メートルを超え、500平方メートル以下のもの:窓先空地3m
- 500平方メートルを超えるもの:窓先空地4m
また、建物が耐火建築物の場合は2倍読みすることができます。
- 200平方メートル以下のもの:窓先空地1.5m
- 200平方メートルを超え、600平方メートル以下のもの:窓先空地2m
- 600平方メートルを超え、1,000平方メートル以下のもの:窓先空地3m
- 1,000平方メートルを超えるもの:窓先空地4m
よく勘違いしやすいのが、上記の住戸面積には道路に直接面する住戸は含めなくて良いということです。
例えば以下の図は3階建ての耐火建築物の例となっております。

このように「窓先空地の大きさ」は窓先空地を設けている住戸の合計面積で決まります。
窓先空地の窓のサイズについて
窓先空地の窓のサイズは有効でW750×H1200以上必要です。

道路に直接面する窓もW750×H1200以上必要となっております。
特に注意が必要なのは、引違い窓の場合です。一般的にW1500あればW750以上の有効幅が確保できると思われがちですが、メーカーにもよりますがW1700ほどないと、有効W750を確保できないことがあります。
完了検査等で問題が発覚して取り壊しを避けるためにも、必ず有効幅W750以上が確保できるか、事前にメーカーに確認することを強くお勧めします。
窓先空地から道路までの避難経路について
東京都安全条例第19条は採光・通風の確保以外にも避難を目的としているため、窓先空地から道路まで避難経路を確保する必要があります。避難経路の幅は窓先空地を設けている住戸の合計面積で決まります。
- 窓先空地を設けている住戸の合計面積 200㎡以下:避難経路の幅1.5m
- 窓先空地を設けている住戸の合計面積 200㎡超 :避難経路の幅2.0m
となります。
また、窓先空地からの避難経路は条件を満たせばピロティを設けることが可能です。
ピロティを設ける場合は第17条主要な出入口と兼用することになる場合が多いです。
その場合以下の条件を満たす必要があります。
- 隣地境界線から500㎜以上離隔を確保する。
- ピロティと外部の壁又は柱は1/2以上開放させる。
- ピロティ部分に駐車場・駐輪場を設けない。
- ピロティと屋内部分は耐火建築物又は特定防火設備で区画する。

以上のように窓先空地からの避難経路と主要な出入口を兼用すれば設計の自由度も広げることができます。
また、主要な出入口に関しては以下の記事を参考にしてください。
まとめ
- 東京都安全条例第19条は「採光と通風の確保」と「避難経路の確保」を目的として定められている。
- 東京都で共同住宅を計画する場合、各住戸の窓の前面に道路又は窓先空地を設ける必要がある。
- 窓先空地を設ける場合は、窓先空地の大きさ・窓のサイズ・窓先空地からの避難経路などを考慮して計画する必要がある。
東京都安全条例第19条に関して、わかりづらい箇所がございましたらお気軽にコメント頂ければと思います。
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